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真珠は、母なる貝と偉大な海、そして人間の知恵が育てた宝物です。
真珠誕生までのプロセスを追いながら、その美しさの秘密を存分にお楽しみください。
健康な母貝を育てるために、生まれたばかりの貝からしっかり管理。
近年はバイオの力を最大限に活かし、しっかりした母貝を育てます。 きれいな海と健康な母貝が、良質の真珠を育てます。真珠養殖に適した環境は、海水がきれいでおだやかな潮の流れがあり水温が高すぎず 低すぎないことがポイント。健康で美しい母貝(あこや貝)を育てること。徹底した環境管理と健康な母貝があればこそ、日本伝統の美しいあこや真珠が誕生するのです。稚貝の採苗はその大切な出発点です。
美しい真珠を育てるための最も大切な要件です。
アコヤ貝の成長は水温と比重(塩分濃度)の変化に敏感に反応します。夏場に気温が上がり水面の温度が上がれば水深深くヘ、異常に雨が降り 続いた時も、水面近くの比重が真水に近い状態になるため、水深深くへ移します。こうして母貝は、順調に育てられます。
手間をかけて順調に育った母貝は、次に『母貝仕立』とよばれる核入れの準備を整えます。 これは、それまで潮通しの良いかごにつるして快適な環境においていた母貝を目の詰まった窮屈なかごにうつしかえ、 少し苦しい状況におくことです。こうすることで貝に抵抗力をつけ、核入れ後の回復力を高めるわけです。 母貝に苦しい思いをさせるのはかわいそうですが、あまり元気いっぱいだと、かえって核という異物が入ったときに痛すぎて疲れさせてしまうことになります。 貝の生理状態を落ち着かせておくと、痛みもさほど感じず回復力が残るのです。
なにかのはずみで異物を含んだ貝は、それに刺激されて、一生懸命に殻の内側と同じ成分を分泌して同一化しようとします。 これが美しい真珠層をつくるわけですが、養殖真珠の場合は、この異物をわざわざ人工的に貝の体内に含ませます。 これがいわゆる『核入れ』です。一般的には良い真珠をつくるのに最も適した4月頃から7月にかけて、 毎年、母貝仕立が整ったものから順次核入れ(施術)が行われます。
ベテランになると素早く確実に核を入れるのはもちろん、なにより母貝の健康状態を瞬時に判断する目に長け、 それに応じた施術で美しい真珠を作り出すことができます。
こうして、細心の注意をはらって核入れした母貝は、せっかくの核を吐き出さないよう(脱核)に、10日から30日間は波が穏やかな内海で静養させます。そうして、健康が回復したあと、いよいよ沖へ吊し出されるのです。 ところで真珠の養殖は、無制限に核入れしていいというわけではありません。真珠の品質を守るため、密殖を避け、 育てられる海の広さに合った適数以下に留めます。
核入れ、静養をすませた真珠貝は、真珠が取り出されるまでの間を沖の海で過ごします。その期間は約2年。毎年7月末まで核入れを行い、 その年の冬を越して翌年の12月ごろから真珠を取り出していくわけです。この真珠はひと冬を越していることから『越しもの』と呼んで大切にされます。 しかし、越しもので美しい真珠を育てるのには、大変な苦労があります。何しろ真珠は環境が命。環境の変化や管理面での対応を徹底して行わなければなりません。
近年は夏の異常高水温や感染症による被害が大きいだけに尚更です。貝掃除も大変です。海に吊しておくと貝は驚くほど汚れます。 放っておくと貝殻がまったく見えなくなるほどフジツボが付着したり海草に覆われてしまいます。貝は生き物ですから、汚れがついたままにしておくと、 プランクトン等のえさをとったり、呼吸をすることが出来ません。そして美しい真珠も出来ないわけです。
貝掃除はまさに汗にまみれる重労働。 40個から50個の真珠貝をいれた網篭を連続して引き上げるだけでも大変です。しかもいかだのうえという不安定な足場で一枚一枚汚れをこそげ落としていると汗でびっしょりになります。 一日の作業が終わるころには、足も腰もガタガタ。よく真珠は人魚の涙とか海のしずくといわれますが、真珠は知と汗の結晶でもあるのですね。
浜揚げは、毎年12月から2月にかけて、水温が12度以上16度以下の季節に行われます。 というのも水温が16度以下になると真珠貝の生理活動がにぶくなり、 真珠自体の艶が増すからです。しかし人間にとって、対馬の厳しい冬の海でおこなう浜揚げはつらいもの。 イカダにつるされた真珠貝の網篭は重く、手で引き上げるのは大変です。 それを船で岸まで運び、クレーンで丘に引き上げ、作業場にもっていくわけですが、 作業場では手作業で網篭から一枚一枚貝を取り出し、貝を割り、肉と貝柱に分けられます。 この肉の中に真珠が隠れていますから丁寧に扱わなければなりません。
ところで、これほど大切に育てても『花珠』と呼ばれる最高級の真珠は、 核入れした真珠貝のわずか1%から2%の割合でしか生まれません。 どんなに上手に核入れしても、どれだけ海で管理しても、美しい真珠はわずかしか生まれないのですから真珠養殖は本当に難しいものです。 近年は環境問題で真珠の総生産量は激減し、良質真珠にその傾向が顕著です。 日本のあこや真珠の美しさを守るため、養殖業界の尚一層の努力が求められています。